手の皮脂や角質の減少で生じる手湿疹は、水仕事をする人に多くみられることから「主婦湿疹」と呼ばれています。
かゆみ・痛みをともなう皮膚の赤み、ひび割れ、皮むけ、水ぶくれなどに悩まされやすく、常に塗り薬を持ち歩いている人も少なくありません。
●主婦湿疹はどんな人がなりやすい?
- 主婦または主夫
- 理容師・美容師
- 食堂やレストランの厨房で働いている人
- 看護師や介護系のお仕事をしている人
人の皮膚は汗や水分、皮脂が混ざり合ってできる天然のクリーム(皮脂膜)によって、乾燥または水分の蒸散、刺激物質の侵入を防いでいます。
しかし、水やお湯、洗剤などに触れる機会が多い仕事をしていると、天然のクリームが洗い流されてしまうため、皮膚のバリア機能が低下してしまいます。その状態の手に水仕事の負担が重なることで、手湿疹の症状が起こると言われています。
●主婦湿疹はどんな対策が必要?
主婦湿疹は手に接触する水やお湯、洗剤などの刺激によって生じる手湿疹ですので、皮膚のバリア機能を低下させない工夫が必要です。具体的には、食器を洗う前に汚れを拭き取っておき、水や洗剤に触れないようにゴム手袋を装着する。また、使用する食器の数を少なくするために大皿に盛るなどの工夫もおすすめです。
皮膚がカサカサしてひび割れる乾燥型 |
ブツブツ・水ぶくれができる湿潤型 |
【特徴】
手指から出始めて全体に広がる。
【ケア】
乾燥型の手湿疹は保湿が基本。保湿効果の高い塗り薬でケアしましょう。
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【特徴】
指や手のひらから出始めて甲にも広がる。
【ケア】
湿潤型の手湿疹はクリームより軟膏タイプの塗り薬がおすすめ。
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※クリームと軟膏の違いは水を含んでいるか否か。軟膏は水を含んでいません。
手や腕の皮膚に赤み・湿疹はないけれど、我慢できないかゆみが襲ってくる場合は、皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)かもしれません。
●皮膚掻痒症はどんな人がなりやすい?
- 皮脂の分泌が減少する高齢者
- 体質が変化しやすい妊婦さん
- 乾燥肌に傾きやすい人
皮膚掻痒症も手湿疹と同様に乾燥した皮膚に生じる不快なものですが、手湿疹と違って痛みをともなわず、掻くことで一時的に症状を抑えられます。しかし、皮膚を掻くこと自体が刺激となって、さらにかゆみが増してしまうという悪循環が特徴です。
●皮膚掻痒症はどんな対策が必要?
できるだけ皮膚に刺激を与えないようにしましょう。具体的には、衣服の素材を肌に優しい綿に変えたり、入浴中は身体を手で洗ったり、室内の湿度調整を行うなど。また、かゆみが出た時に皮膚をさすったり叩いたりするのも刺激となるため、おすすめできません。どうしても我慢できない場合は、かゆみを抑える塗り薬を使いましょう。
塗り薬が手放せない手湿疹「主婦湿疹」と、赤み・湿疹はないが皮膚にかゆみが現れる「皮膚掻痒症」について説明いたしました。上記で説明した内容は西洋医学の一般的な考えです。漢方の考えでは皮膚の状態に加え、人によって異なる生活習慣から体質を整える漢方薬を処方します。
例えば、皮膚が乾燥してかゆみがあり、身体が冷えやすい体質の方。このような方は漢方では血燥生風(けつしょうそうふう)タイプと考え、当帰飲子(とうきいんし)という漢方薬をおすすめします。漢方の考えから紐解く体質の改善に興味がありましたら、中谷安心堂漢方薬局へお気軽にお問い合わせください。